下関茶厰の良心に拍手!
国営から民営の有限公司に代わり、独立採算を余儀なくされてからの茶は正直いってあまり好きにはなれませんでした。機械化が進むのもパッケージが必要以上に過剰になるのもしょうがないとは思いながら、輸出用の緑茶や紅茶のために作られた茶畑の茶で作ったのではないだろうかとも思われる、小さな葉で作られた普洱茶なども見られちょっとがっかりします。
きのこ型をした私の好きだった斑禅緊茶の味も機械化されて変わりました。その変の取材を須賀さんにも頼んでいたのですが、「今はあまり作ってはいない」とすぐ他の話に切り替えられてしまったとか。
戴いた小陀茶は生茶と熟茶がありどちらも1個4グラム弱、1パックが240グラムです。全体に特殊なアルミ加工された用紙を使った、豪華なタバコの20個入りの様な箱に入り、又タバコ2個入る様な同じカラー箱に入り、その中に8個入りの袋が2つ入り、中味の小陀茶も下関特有の鶴の柄の紙に1個ずつ包んであるという過剰包装の見本です。そう生茶と熟茶二箱が丁度入る豪華な手提げ袋も用意されています。おみやげに二袋買って下さいがみえみえ!余り興味が湧きませんでしたので、桃猫さんが淹れてくれるのを遠目でながめ、おみやげなのに皆で「あまりおいしくないね」なんて勝手に批評。
これを売りたいらしい下関茶厰よりたくさん持たされたと須賀さんが皆に一袋ずつ進呈しました。私も参考品として1袋戴いて良く見たらビックリ!! 袋に2mm程の穴が空けてあるではありませんか。袋の裏表両方にパンチで入れたような空気穴がありました。すごい、さすがに下関だと見た瞬間嬉しくなりました。日本特有なのか、普洱茶を他の茶と同じように25グラムなどの単位で売る店も見られますが、どれもシーリングした密閉袋に入っています。私はそれを見るたびに心が痛みます。そして親しいお店だとうるさがられても「普洱茶が呼吸出来るように針先ででも穴を空けて空気入れて上げて」なんて言ってしまう。聞いてはもらえませんけどね。
高価な茶でうちのは特別なんて言って売っている人が「この程度の茶、何してもかわらない」なんて言うのを聞くと、一生懸命茶を摘み、作っている人や、茶葉がかわいそうで悲しくなってしまう。だからこの袋に空けられた穴を見て、やはり下関、「基本の基」は忘れていなかったんだ、そう思うととても嬉しかったです。今度から私も穴開けパンチ持ち歩こうかな(笑)普洱茶密閉して売っている店見つけたら勝手にパンチしちゃおうかな(笑)この小陀茶がすばらしいお茶に熟成する事はないかもしれないけど、これは大切な事だと思います。この場合は箱ごと買うのですから買う人にはわからないはずです。でも買った人が普洱茶知っている人だというのが前提なのですね。買う人が普洱茶わからない人でも穴を見れば理解する事が出来ます。これは本当に大切な事だと思います。お茶に対しての基本は守る、やはり伝統ある下関茶厰だなーと感心したパンチ穴でした。