普洱茶は続いていく (8月仕入れ旅、熟茶)
昔皇帝今国家礼品と言われる「同慶號」が1940年代に茶葉と共に澳門に逃れて来た事はわかっている。現在、国の礼品と言われる様になるまで、何時どのように復権したのかはわからない。可以興が2006年資本が変わった事、楊聘號が百年記念餅を出した事、続々と昔の老字號と呼ばれる茶厰が復活している。
同慶號は美味しかった。茶葉も職人も現在一流のものが集まっているのだろう。こうなると美味しいお茶探しに好奇心がとまらなくなるのが私。胡錦涛前主席が来日時におみやげで持ってきた同慶號、生茶は易武山の瑞具天朝の茶葉、熟茶も堆積温湿度の管理がとても良い。内飛以外に細いリボンが付き、内飛の他に紙が一枚入っている。どうしても今回はその茶を探したかった。同慶號は茶葉市場でも一般的に売っている茶ではない。日本で海馬さんが調べて調べて、暑い茶葉市場を歩いて、結果4日間掛けて手に入れた。
今回は2004年の熟茶だけ。探している過程で“佛海 鼎興茶荘”という茶荘が細々と作り今だにチベットに送っている班禅緊茶と百年宋聘號の2015年の熟茶も見つかった。どれも良心的な値段で仕入れられたから同慶號で8000円。鼎興茶荘は4000円でお分け出来る。現在は中国でも大益、下関を始めとする戦後国営企業だった新しい茶厰の茶が主流だ。もちろん熟茶は同慶號でも大量生産だけどそれらとは明らかに味が違う。丁寧に作られている事がわかるのだ。香港の茶厰も広州の大手の茶厰も陳年と言われる国営企業産の餅茶、現代では1980年代、1990年代までが数十万円で取引されているからそこに興味が集中している。新しい茶も大量生産の大手が一番売りやすいからそこの集中している。
茶厰の移り変わりに興味を持つ人など余りいない。けれど「普洱茶は続いていく」ならばこれはとても大切な事だと私は思う。虎屋の羊羹をどこの羊羹より信頼している私としては老字號にはそれなりの誇りとノウハウがあると思うのだ。熟茶に一番大切な堆積工程がやはり違うと思う。今回は暑かったけど「同慶號」が見付かったからとても嬉しい。見つけた店の老板、昨夜双子の男の子が生まれたと初めて会ったのに終始ごきげんでしたよ。この楽しい謎を解く為にまず中国語勉強しなければ。