新しい風 (8月仕入れ旅 普洱生茶)
今年のお茶には内飛が入っていない。一本の千年古茶樹で出来ているというのだからとても生産量が少ないのだと思い、どの位この一本で茶葉が採れるのか聞いてみた。聞いてビックリ全部で約千キロだと言う。本当?と信じられない私に陳君はうちで作ったパンフレットを持ってきて「この樹一本の事でしょ?そう千キロは採れる」と言う。何度聞いても筆談して書いてもらってもそうだ。「荒山茶はこの樹一本から作られる」
そうなんだ。荒らされたと言われる西双版納の山奥に、長い間住んでいる地族しか知らないこんな元気な樹がまだ残っているんだ。雲南省は大きいなー。それから2、3日考えているうちにふと思いついた。
以下は私の妄想です。普洱茶の有名な茶山、景邁山では黄片が出てくる秋の茶は白茶の餅茶にする。行けば分けてくれるけど内飛がなく表装紙にも印刷がない。その茶厰の白茶を店で売っているのは私はまだ見た事がない。福鼎の大手の白餅茶は10倍の値段で売られているけどまったく見かけも味も景邁山の白茶と同じだ。もしかして?そう思うのは私だけではない。それなら景邁山の白茶が良いよね。茶樹が良いのはわかっているし、値段もすごく安いもの。比べて見ながら茶友と話していた。
屹瑪茶厰は昨年引越をした。前の店から1分の距離で表の道路に近いけれど前の店に比べると建物がバラックに近い。若い二人が自分でした内装できれいになったけど、空調は半分しか効かないし、お手洗いと台所は無くなった。表にはパートナー求むの紙が貼ってある。陳君が広州に何人顧客を持っているか知らないけど、彼の一族は村の長として学校を作り、たくさんの村人を養わなければならないんだから本当に大変だと思う。内飛のない荒山茶のいくらかは、違う茶厰の茶としてもっともっともっと高い値段で売られているのかもしれない?
広州の大手の茶商の友人は、“今年うちは氷島の半分は買ったよ”、なんて平気でいう。烏龍茶用に作ったとても大きなジョージア州にある畑も見せてもらった。やはりお金になるのは大量生産、大量販売だろう。その片隅で良いお茶を作っている人達は余り報れないのが現状なんだろうか。理想とは違うけれど景邁山でも半年しか仕事のなかった村人が10ヶ月は仕事が出来るようになった事。荒山茶の原料がすべて換金出来る事はそれなりに良い事だとも思う。西双版納には知られていない元気な古茶樹がきっとまだまだあるのだろう。そう思うととても嬉しかったけど、茶の流通を考えると何か複雑な気持ちになる。
一歩一歩で良い。真面目で一生懸命な茶厰達が認められる様になって欲しい。2015年「荒山茶」を飲んだお客様がこのお茶すごく美味しいのに安い、思わずそう言って8枚買って下さった。その方は2016年も仕入れる前から予約してやはり8枚買って下さった。
とても嬉しいけど陳君その値段で本当に良いの?